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【絶望】俺『金ないから借りよう』ヤミ金で借りたら1280万になったwww→俺「返せない」ヤミ金『じゃあ行こうか』→タコ部屋に連れていかれた結果・・・

      2015/07/30

208: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
それから同じ日々が一ヶ月続いた。
同じと言ってもその間に色々なことがあったし、考えたのだけど。
例えば、飲みかけのお茶を置いてトイレに行き、戻ってくるとお茶が飲み干されていたり、
食べかけのカップラーメンを置いてトイレに行き、戻ってくると鼻くその様なものが入っていたり、
持って来たシャツが紛失したり。
親は連絡が付かなくて心配していないだろうか、とか(そんなに連絡していた訳でもないけど、たまには電話してたので)
217: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
で、一ヶ月と一日目
一ヶ月の間きつい肉体労働に従事し、ろくな栄養を取っていないため、俺の身体はずいぶんと細くなっていた。
細いのに腕と肩にだけ筋肉が付き、腹には微妙に脂肪の層がある意味不明な体型になっていた。
これは最もよく使われる筋肉のみが発達し、その他には栄養が回っておらず、内蔵にはカップラーメンの油分によって脂肪が付いたものと思われる。そんな自分の身体を悲しく思いながらカップラーメンを食べていると、角煮が小屋に入ってきた
角煮「はい給料ね~、はい○○、はい○○…」
「あーっす」
「どもーっす」
「あっす」
各々適当に挨拶をして給料を受け取る。
226: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
封筒を受け取った。重い。重いのは小銭が多いから。
出して確認してみると、1万円と890円だった。(この金額をよく覚えてる。全部800円は百円玉だった。)
俺は初め言葉を失ったが、おそらく○○ローンへの返済は角煮さんがしてくれたのだろうと思った。
多分、食費が9万くらいで、10万は返してくれたのかな?その残りがこれだな、などと。
しかし違った。違うということが分かった。
「あーまたこんなかよ」
「え、どうしたんですか?」
「こんなじゃいつまで経っても帰れねー」封筒の中に明細が入っていることが分かった。
そこには驚くべきことが書いてあった。カップラーメンxxx円
パンxxx円
飲料xxx円
など飲食費の詳細に続き、
宿泊費
光熱費
という項目があって、宿泊料が六万円、光熱費が三万円弱だった。
231: 名無しさん  ID:SoeQIRkz0
>>226
生きてるうちに帰れなくねこれ
236: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
黴屋敷に住むのに一日2000円もの賃料を払っているのであり、更にはカップラーメンに入れる湯、
一週に二度のシャワー、それだけしか使っていないライフラインに何故か三万円もの光熱費を払っているのであった。
つまりは渡された10890円のみが給料なわけであり、これではもう返す返さないの問題では無い。
角煮さんはここから我々を出す気は無いし、無表情さんもそれを分かっていて預けたのだ。
だからひと月前、あんな、今生の別れの様なことを言って去って行ったのだ。
絶望した。頑張って借金を返そうという気持ちが無くなった。返せない。帰れない。
247: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
翌日から俺は無気力になった。どうでも良くなった。
どうせもう借金は返せないし、帰れない。いつかこの黴臭い小屋で過労死して誰にも知られず適当な山に埋められる。
そんな未来を思った。それが現実になり兼ねない状況に置かれているのに、別にどうでも良くなった。
男たちに全く威勢が無い理由も分かった。もう皆諦めているのだ。元の世界に帰ることは出来ないと知っているのだ。
260: 名無しさん ID:Nc/ijTu50
二ヶ月目の半ば、トンネルの補修が終わり、次の現場に移った。
次の仕事は、獣道の様な道の舗装工事だった。新たに旧国道から国道へ抜ける道を作るのだとか。
角煮は「今回は長いことかかるぞー。張り切って行けよー」のようなことを言っていたが、
そのときは何だか何を言っているのか分からなかった。実質月一万少々の給料で何を頑張れというのか。
267: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
その日の夜、角煮が部屋に入って来た。
「恒例の奴でーす」か何か言って茶封筒を数個取り出した。
「はい買う人ーいる人ー」「……あーどーすっかなー」
「…んー」皆悩んでいるようだった。何なのだろう?俺は思い切って聞いてみた。
この頃になるともうどうでも良いと思っていたので信じんらしさゼロのだらしない話し方になっていたと思う
「それ何すか?」
「え?分かんだろ。冷たいやつ」
「はい?」
「だから、良いやつだよ」

280: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
「良いやつ」という言葉で何故かピンと来た。白いお粉だ。
本当にヤバいところに来たということを実感した。
どうやら、現場が変わった日にこれを角煮が売りにくるということが恒例になっているらしかった。
俺は借金を積み重ねた後に黴の小屋に入れられ、自分には自制心が無いということを重々承知していたので、
絶対に手を出さないとその瞬間に決意した。お薬だということが分かった瞬間に。
男たちのどこか無気力な雰囲気のもう一つの原因はこれだったのだ。
298: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
結局三人が名乗り出た。三人は角煮から封筒を受け取ると、角煮と共に小屋の外に出て行った。
四人が出て行った後も「うわー…買っときゃ良かったかな…」
「でも赤字んなるしなー」
「あー次回はやっかな」
などと話している残りの男たちを見て、分かった。全員シャブ中じゃねえか。
入る前からそうだったのか、それとも入ってからそうなったのか。
どちらでも良いことだが、俺だけが唯一の手を出していない人間だった。角煮もハンマーも、
他の小屋にいる現場でしか顔を合わせない二人の男も恐らく、皆シャブ中だ。
302: 名無しさん ID:TNArYESi0
カイジより面白いかも知れない
309: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
俺が気力を失ってから早半月であったが、そのことがきっかけになり、
ここにいて訳の分からない労働を続けているのは非常にまずいと気がついた。そして別のやる気が芽生えた。
意志薄弱で巨額の借金を作ってしまった自分のことである。
このままここにいれば、この「まずい」という想いも次第に薄れ、きっとこの男たちと同じく、
薬の魅力に取り付かれて文句を良いながらもここで訳の分からない生活を死ぬまで続けることになる。
そう思った。逃げようと思った。
327: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
逃げるならいつが良いのだろう。
一番良いのはやはり深夜から朝にかけてだろうか。
しかし万一見張りなどいて捕まってしまった場合、どうなるか分からない。
そもそも、帰って来てから朝出るまでの間、小屋を出たことさえ、そういえば無いのであった。
慎重に考えなくてはならない。
俺は翌日から、普通に働くフリをしつつ、皆の意識が散漫になっているときを探った。
337: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
それから数日、働きながら皆の様子を観察した結果、
あることが分かった。一番逃げやすいのは、現場で働いているときだ。小屋にいるときは他の男たちの目があるし、夜は外に出ると怪しまれる。
実際、誰一人外に出ようとしない。
夜中、明け方に抜け出せる可能性は未知数だが、見張りがいるときのことを考えてやめておいた方が無難だ。しかし、現場で働いているときは、皆それぞれの持ち場に集中しているし、用を足しに少し離れた仮設トイレに行くこともある。
つまり、逃げようとしていても逃げようとしているようには見えない。
353: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
そのことに気付いた翌日の夜。
俺は久しぶりに携帯の電源を入れた。でも付かなかった。当然だ。
「これ充電しても大丈夫っすかね?」
「あーまあ大丈夫じゃねえ?コンセント使う奴初めて見たけど。まあどうせ三万もとられっし使っちまえよ」
「そっすね」
満タンまで充電した。俺の鞄を誰も漁ったりしなかったのは不思議だった。食べ物とか飲み物は結構前述のようなことがあったんだけどね。その翌日の現場仕事の途中
俺は被っていたヘルメット(これがでっかい箱に入ってて毎回違うやつに当たる上、洗わないので臭い)
を置いて、「ちょっとトイレ行きまーす」と言った。
角煮は「あ?何でヘルメット脱いでんの?被って行けよ。ほら」のようなことを言ったが
俺は「すいません、なんか物凄く頭が痛くて…トイレ行くときだけお願いしゃっす」
みたいなことを言ってトイレの方へ向かった。
角煮は「ざけんなよ?!さっさと行ってこいよ糞野郎(かくず野郎か忘れた)が!!」と怒鳴った
俺はトイレのところまで行き、決心を決めるとある程度のところまでは音を立てない走り方で、それ以降は思い切り走った。
勿論携帯電話は持っている。
367: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
幸い誰も気付いていないようだった。現場は耐えず轟音が鳴っているし、人が一人走る音なんて聞こえない。
時間が経てば角煮が追いかけてくるだろうから、なるべく遠くまでにげなければいけない。
心臓をドキドキさせながら暫く森林の中を走ると、何となく気配が変わった気がした。
小屋の立っている場所は異常な山奥だったが、現場は意外と民家まで歩けないこともないのかもしれない。
そう思った。
388: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
しばらく進んだ。携帯で誰かに連絡を取るよりもまず、現場からは離れ、捕まる可能性を少しでも下げないといけない。
そう思った。
息が上がって苦しさを覚えながらも、とにかく走った。
現場の旧道と国道は山の斜面に、袂に向かって平行に走ってる感じだっんだけど、その真ん中を袂に向かって逃げていた形だと思う。
現場が上の方だったから。
あの状況で逃げるとなれば下るに決まってるから、気付かれれば捕まる可能性があると思った。
だからとにかく走り続けた。体力が物凄く落ちているのを実感した。一ヶ月半も肉体労働やってたのに。
397: 名無しさん  ID:Nc/ijTu50
で、走りに走った末、森林の隙間から市街地が見えて、あ、と思った。少し安堵を覚えて立ち止まった。
「あ、これは戻れる。とりあえず帰ったら○○ローン…ではなく、弁護士事務所に行って債務整理か?それとも警察か?
しかし労働自体は違法か微妙なところだし…しかしシャブやってたし…」
などとかんがえている内に右後方、国道のある方からエンジン音。
どうやら車らしい。車らしいのは良いが、それが一般人の車か、追いかけて来た角煮の車かによって随分音の意味は違う。
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