「俺の酒が飲めないのか」上司からの理不尽な強要…江戸時代の武士は意外な対応をしていた
もし、酒が飲めない人間が、武士の集まる酒の席に出席した時はどうするか。
下戸の側も「私は下戸です」とは直接言いませんが、お酌をされる時に、お酌をする人の顔を見るのです。
普通は盃のほうに目を下げるのが礼儀ですから、お酌する人に目を合わせるのは異例のことですが、これが「私は飲めません」の合図なのです。
そして、酌をする人もその合図を察知して、口をつける程度にしか注がない。
それについて、亭主やその場にいる人たちも、「おい、注いでないぞ」とは言わない。
それで「注いで飲んだことにする」のです。
これが、武家の礼法です。
武家の礼法とは、「やせ我慢」ではありませんでした。酒はやせ我慢してでも飲むのではなく、無下に断らなくてもさりげなく断る作法はあるし、飲めない人には飲めない人への配慮が決まっている。
つまり、武家の礼法とはやせ我慢ではなく「慎みと気配り」なのです。
例えば、武士は真夏に羽織袴を着ていても、汗をぬぐうことは慎むべきとはいうものの、どうしても暑くてしょうがないという時には、「扇子を2、3間開いて、下方で扇ぐ」というのがよしとされていました。
つまり、暑さをやせ我慢するのではなく、扇子で扇いでもいいよ、という配慮があったのです。
ただし、扇子を全開で開けっぴろげに扇ぐのではなく、2、3間ほどちょっと空けて、しかもその風が他の参列者に行き届いたり他の人にもその仕草で暑さを感じさせることのないよう、下のほうからこっそりと扇ぐのです。
また、武士は正座をするのが当たり前なので、足がしびれてでもやせ我慢して座り続けるものだ、と思いがちですが、これも足がどうしてもしびれた時は親指で立ちお尻を持ち上げる、という逃げ道としての座り方も、作法にはあります。
それが作法なのですから、それを目にしたほうも、「人の目の前で扇ぐな」「正座を崩すんじゃない」といちいち強要はしなかったのです。
つまり、「上司の勧める酒が飲めないのか!」という人は、部下に社会人としての礼儀作法を教えているつもりで、実は自分が礼儀作法が分かっていないのです。
こういう話を書くと、必ずと言っていいほど、「でもうちの業界は、酒は絶対に仕事の必需品で、酒が飲めないと仕事にならないのです」などと反論してくる旧人類が出てくるのですが、そう頑なに思っている人ほど、また自分が上の立場になったら下に強要します。
そういう人が幅を利かせていて、またそれを「しょうがない」と思っている人ばかり、という業界は、ちっとも発展していきません。
今まではそういう時代だったかもしれませんが、それなら今までが特別だったのです。
強要をすることが礼儀ではないし、強制をすることが作法ではありません。
相手に「慎みと気配り」ができる人ほど、信頼を集めるようになる人間です。
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