「エイプリルフール」父と息子への手紙
スコットランドのある親子の物語。
まだ5歳で母を亡くした少年。
幼くして母を亡くした少年には母が亡くなったという事実を飲み込む事が出来なかったのです。
父が何度説明しても、
「母さまはいつ帰ってくるの?」
「母さまはどこにいるの?」
4月1日は少年の6歳の誕生日。
去年は花の精の絵本。
その前の年は小人が主人公の絵本。
もう何十回も読んだ母からのプレゼント。
「母さま、今年は何の絵本を下さるのかな?」
父は息子にプレゼントを用意しました。
それは、もういないはずの母からの手紙でした。
毎日母からいただいた絵本を読んでいたおかげで少年は幼くても字を読むことが出来たのです。
父は妻に感謝しました。
手紙はもう会えなくても母はいつも少年を思っている、元気でいてくれという他愛もない内容。
それは父が苦し紛れで書いた手紙。
しかし少年はそれを何度も、何度も読んでいました。
そしてそれからしばらくして、少年は母について尋ねる事をしなくなりました。
次の年も4月1日には少年に母からの手紙が届いたのですが、その次の年は少し状況が違いました。
「今年は父さまにも手紙が届いたよ?」
少年宛に一通。
そして父宛にもう一通。
少年も8歳になって気がついたのです。
手紙は父が書いてくれていた事を。
父だって母がいなくてとてもさびしいのだと。
封筒にも入っていない、何度も書き直して薄汚れくたくたになってしまった便箋。
会えなくても夫の事を思っていると、お酒を飲みすぎるなと、そういった他愛の無い内容。
母の字には似ても似つかぬヘタクソな字で書かれた手紙でしたが、しかしそれからしばらくして、父のお酒の量は少しだけ減りました。
それから何年も、何年もそのやり取りが続きました。
父は黙って子に騙され、子は黙って父に騙され続けたのです。
いつしか父に届く手紙の字も、母の字に似てきていました。
そしてこの話はスコットランドの人々に知られるところとなりました。
手紙の正体は皆知っているのですが、誰もそれを指摘するものはありません。
4月1日は、この父子のとっては子供の誕生日であると同時に、優しいうそに騙される、素敵な日となったのです。
エイプリルフールはふざけてうそをつく日だけではなく、優しくうそに騙される日でもあることを知りました。
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