図書館で借りた本にタティングレースで編んだ手作りっぽい可愛らしい栞が挟まっていたので司書さんに預けた→その栞が俺と嫁との出会いだった。
その頃引越した街には、なかなか広くて設備も新しい図書館があって、そこはタダで静かで空調も快適だったから、当時なんちゃってミステリファンの大学生だった俺は、金が無い時の暇潰しに良く使っていた。
通い始めて三ヶ月くらいの頃だったか、借りた本に栞が挟みっぱなしになってるのを見つけた。
レース編みの手作りっぽいかわいい栞は、当時編み物の知識も興味も全く無かった俺ですら解るくらい手が込んでいて、そのまま放置するにはもったいないクオリティだった。
これはきっと、俺以前に本を借りた誰かが挟んだまま返却してしまった物だろうと考えた俺は、できればその誰かに返してあげたいんですがと司書さんにお願いした。
その時が彼女との初対面。
愛想よく「お預かりします」と答えた笑顔がいかにも仕事できます的な余裕たっぷりで頼もしかったから、この人に預ければきっと大丈夫って、ちゃんと栞は持ち主の手に戻るって、俺は根拠も無くそう思った。
後で聞いてみれば、彼女がその図書館に勤め始めたのは、俺が引越してくるずっと前だったそうで。
だから、当然既に何度か顔も合わせてた筈なのに、それ以前は存在が全く印象に残ってなかった。
黙ってるとクールな感じだが、話すと実は物腰が柔らかく表情豊かで、見た目は清潔感のあるメガネの文系タイプっていう、それこそ思い切り俺の趣味ど真ん中な人だったんだけどね。
さて、忘れ物を預けたこと自体すっかり忘れた一ヵ月後くらい、久々に行った図書館で彼女に呼び止められた。
「あの栞、ちゃんとお返ししておきました」
「あー、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ、ありがとうございました」
見た目クールだけど実は表情豊かな人だって事には、この時気づいた。
ニコニコ笑ったその時の笑顔は、愛想笑いでも一ヶ月前に話した時のいかにも仕事できるっぽい頼もしい笑顔でもなくて、何というか子供が誕生日プレゼントの包みを開く時の嬉しそうな顔というか、貧弱な俺の語彙ではちっとも表現できない、とにかくすごく可愛い笑顔だった。
取り敢えずきっかけなんてそんなもんで充分だった。
ゲンキンなもので、今までその存在に気づいてすらいなかったくせに、今度は彼女が気になって気になってしょうがなくなった。
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